いざ「草木染めに挑戦!」と思っても、やはりそれなりの下準備は必要です。
布を染めるときに必要な下準備について、少しご説明しますね。
まず、染める布について。
「布が染まる」ということは、布の繊維の中に染料の色素がもぐりこみ、繊維のタンパク質と色素がしっかり結びつくことです。
繊維の表面に色素がくっついているだけだと、洗ったりこすったりしたときに、色素はすぐに落ちてしまいます。
シルク(絹)は、蚕(=生き物)でできており、動物性タンパク質がもともと含まれているので、染まりやすいのですが、コットン(綿)や麻は植物からできているので、そのままでは染まりません。
そこで牛乳や豆乳などタンパク質のものを布に染み込ませて、色素をくっつきやすくしてあげます。これを「タンパク処理」といい、牛乳や豆乳のことは「助剤」といいます。
手芸店では、「濃染剤」として売られているようです。
化学染料の場合は、ほとんどの布をそのまま染めることができます(新品の布は洗って糊を落とす必要がありますが)。
1/手軽な助剤の牛乳と豆乳。酢は「花びら染め」のときに発色&色止めとして使う
2/牛乳に布を浸ける。どの家庭の冷蔵庫にあると思うので最も身近だけど、布が乾いたときに匂いが気になるかも。牛乳を水で2倍に薄めてもいいらしいが、そのままの方がしっかりタンパク質が染み込み、よく染まる気がする。
3/子ども教室で「花びら染め」をするにあたり、大量の布(さらし約15メートル)をタンパク処理することになった。豆乳を何リットルも買うのはお金がかかるので、自分で豆汁(ごじる)作りに挑戦! まず、大豆を一晩水に浸ける
4/ミキサーで撹拌する
5/次女もお手伝い。子どもってスイッチやボタンを押すのが好きですよね。「自分が動かしている!」という実感があるのかもしれない。
6/大豆を絞るのは、思った以上の重労働。お豆腐屋さんは機械絞りなんだろうなぁ…
7/作業をくり返す
8/次女も微力ながら絞ってくれた(手を添えているだけのような気もするが…)
9/搾かすのおからは捨てるのがもったいないので、夕飯のハンバーグに変身しましたよ!
10/自家製豆乳に布を1時間ほど浸ける
11/布を水ですすがず絞って干す。一昔前、布おむつがヒラヒラしているような風景でしょう? 話は少々飛びますが、最近、晒(さらし)から布おむつを作る人って少ないですよね。だからお店でもなかなか売っていない。探すのに苦労しました。
12/タンパク処理した布の完成! たくさんつくっておけば、いつでも染めたいときに染められます!
さて、次は布のタンパク処理と同じくらい大切な「媒染剤」についてです。
煮て染める方法の場合、発色&色止め効果を出すために「媒染剤」を用意する必要があります。
※「花びら染め」の場合は必要ありません。
今回は、漬け物等にも使う焼ミョウバンで媒染剤(アルミ媒染)を作ります。私はドラッグストアで買いました
ミョウバン100gを湯400ccで溶かし冷めたら水1.5Lを入れて完成。半永久的に使えるそうなので、作りおきしておきます。
媒染剤によっては、色素と化学反応をおこして、同じ染料でも、全く違う色に染め上げることができます。
昔の家庭では、木やわらなどを燃やしてできた灰を水に入れて作った「灰汁(あく)」をよく使ったそうです。これは「アルカリ媒染」になります。
また、むかし結婚した女性が歯を黒くそめるために使った「お歯ぐろ」も、媒染剤として使われていました。鉄分の多い沼や田の泥水に染めた布を浸すのだそうです。
この「鉄媒染」は、バケツなどに錆びた鉄くぎ/湯/酢を入れてよく振り、2〜3日おいて使うそうです。
媒染剤によっては、劇物と呼ばれる薬品もあるので注意しなければなりませんが、やはり家庭で染めるなら、安全&安心なものがいいですよね。