★『食×Art』の創造を目指して
2016年から「アトリエことこと」が心新たに目指すのは、『食×Art』の創造です。
なぜ“食”と“アート”なの? と思われる方が多いと思います。
私自身、どちらも自分にとって欠かせない重要なものと感じながら、うまく説明できずにいました。
それでも、食とアート両方あって私。
その二つをかけ算することで、生まれるものは何? 私に何ができる?
考えて、考えて…自分の今までやってきたこと、好きで興味あったことなどをふり返った結果、キーワードが分かりました。
★キーワードは “美”
美術や芸術としての “美”。
食から生まれる健康を土台とした、その人自身が輝くための “美”。
★アートの力で一人一人の「生きる力」を引き出し、
その人らしい「生き方の表現」を一緒に模索したい
アートというと、一部の限られた人による美術作品や芸術活動、と思われる方もいるかもしれませんが、そのようなことはありません。
何気ない日常。幸せな気持ち。心がヒリヒリ傷むときの気持ち。イライラした感情…意識していなくても、誰かに話を聞いてもらったり、言葉や文章にするなど、誰でも何らかのかたちで表現しています。
それは、潜在意識の中で「私は今、ここに生きている!」ということを(心で)叫び、誰かに自分という人間を受け入れてほしい! 認めてほしい! と強く感じているからだと思うのです。
表現することは、誰かと繋がる手段でもあります。
スポーツで汗を流したり、何らかの手段を使って自分を発散できている人は、強く感じることはないかもしれませんが、障がいのある方や、自分をうまく表現できない子どもたち、お年寄りなどは特に、心の底では何かを表現したい欲求があると考えています。
絵を描いたり工作することは、本来とても面白くワクワクするものですが、なかなか形にならず苦戦することもあります。しかし辛抱づよく取り組み、自分の中にあるモヤモヤしたものが、何らかの形になって吐き出せたとき、晴れ晴れと満たされた気持ちになります。制作の過程もかけがえのないものとなり、同時に自分の中に眠っていた生きるエネルギーが目を覚まし、ムクムクと沸き上がってくることでしょう。
美術・芸術。それは何かを創造し、表現することです。
アートを通して様々な人と関わり、その人らしい「生き方の表現」を一緒に模索していきたいと思っています。
★「何を食べるか?」は「どう生きたいか?」と同じ
私は18歳で武蔵野美術大学に入ると同時に一人暮らしをはじめ、卒業後は編集者として朝と夜が逆転するような生活を送っていました。当然のように、食生活も不規則で不摂生になりがち。
それが結婚して第一子を妊娠してから、規則正しい生活、特に食事に気をつけるようになり、長女が生まれてからは天然酵母パン作りに熱中するようになりました。 酵母って何? 発酵って何? という素人でしたが、季節の野菜・果物などから自家製酵母パンを焼き始めました。「発酵食としてのパン作り」を模索しながら、※自然発酵種と出会い、「目に見えないけれど確かにある自然の力」に対し、とてつもない面白さと畏敬の念を感じて今に至っています。
パン作りは単に「美味しい」という結果だけでなく、その過程に何かを創作する時のようなワクワクがあります。
自然発酵種を使ったパン作りは私の生活の一部となり、味噌や醤油、酢、ヨーグルト、チーズ、納豆、漬け物など、様々な発酵食への興味・実践に繋がっています。酵母菌、麹菌、植物性乳酸菌など、発酵のきっかけとなる小さいけれど壮大な「菌の世界」にも魅力を感じるようになりました。
食に対する考えは、自分や家族の健康に直結するだけでなく、巡り巡って地球環境にも関わります。また、大げさなようですが「何を食べるか?」という問題は、「自分はどう生きたいか?」という、生き方そのものに繋がるとも思っています。
自分が口にしたもので身体の細胞一つ一つが作られているのですから、何をどのように食べたかで、自分の思考や行動すべてに影響がでると感じているからです。
※自然発酵種のパン…空気中に漂う目に見えない野生の酵母が、小麦粉と水で捏ねただけの生地に付着して生命活動を始め、その発酵力を使って焼いたパンのこと。小麦粉、塩、水という、最もシンプルな材料を、種つぎしながらパンを作り、ちゃんと管理していれば、その種は各家庭に伝わるぬか床のように、生き続けます。
★いつまでも美しく元気に年齢を重ねたい!
と思う人に向けての活動
パン作りを始めて10年になりました。
私は自分でパンを焼くようになってから、体調がよくなってきたと感じます。パン作りをきっかけに発酵食をよく食べ、食と身体の関係について日々考えるようになったからかもしれません。
また私は、大学時代に社交ダンスを始めて以来、フラメンコ、サルサ、アルゼンチンタンゴ、日舞、フラなど、いろいろな踊りを体験してきました。音楽にのって全身を使って表現することも大好きです。
最近は、ピラティス・インストラクターになった妹の指導のもと、ピラティスもゆっくりペースでおこなっています。
食事と運動を組み合わせることで、心と身体のバランスが整い、何事も前向きに捉えられるようになってきました。
そのような経験から、今後は 女性なら誰でも気になる美容面での“美”に関しても総括的に勉強し、近い将来は一人一人に合った食事と運動について提案したり、家庭で気軽に実践できる発酵食や薬膳の教室も開催していきたいと考えています。
その人らしく輝く“美”の追求をめざして。
いろいろな意味での“美”を追求をしながら、生きる喜び、生きる力を、身近で大切な人々と共有していきたいと思います。
今後ともよろしくお願いいたします。
「アトリエことこと」主宰 佐々木ひで美
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<あとがき>
人生を80年と仮定すると、私の人生もあと半分。節目の年になりました。
昨年12月、国立新美術館で開催されていた「ニキ・ド・サンファル展」を一人で観に行き、泣きました。全ての作品が素晴らしかったのですが、その時の私に特に刺さったのは、「生命の樹」という絵手紙に書いてあった言葉です。↓
生命の樹ーー
死 不安 悲しみ 病 残忍 渇き 無 飢え 悪 憎しみ 苦しみ 不正 拷問 絶望 悲劇 鳥 美 調和 輪廻 ダンス 子ども 本 人生 神 笑い 力 パン 優しさ 詩 陽気 ワイン 喜び 音楽 健康 希望 アート 夢 寛大 想像 太陽 月 星 愛 花 復活 ユーモア 寛容 自然 友情 ヨーコ
ニキ・ド・サンファル 86年5月
ヨーコへ、友情をこめて
ニキ
良いことだけでもなく、悪いことだけでもない。生きるって、こういうことだなと。涙が溢れました。
ニキの心の叫びや、溢れ出るエネルギーに圧倒されました。
大げさでなく、残りの人生をどう生きるか? と真剣に考えています。子どもの頃は想像もできなかった「死」についても、今では「生と死」表裏一体で考えるようになりました。
ニキの足元にも及ばないけど、私も全身全霊で生きたいと思います。
そして死ぬ直前まで、できれば大好きな人たちと元気に笑って動き回っていたいです。
ワクワクすること、面白いこと、自分や大好きな人たちのために、できることをしていきたい。
そう思ったら、何だか身体の内側から得体の知れないエネルギーが満ちてくるようです。
数年前に書いたごあいさつ文の最後で「今後どのような活動形態に発展するか分かりませんが…」と書きました。その言葉通り、アトリエことことの活動は変化し続けています。
以前のごあいさつ文もあえて残しながら、今年(2016年)新たな気持ちで、この文章を書きました。娘たちの成長、様々な人との出会いや経験によって、「アトリエことこと」の活動が変化・発展していくことに感謝しています。